住職の小話

2022.08.22

法名について

 法名について

浄土真宗では戒名と呼ばずに法名と言います。そもそも戒名とは、出家をして、決められた戒律を守り通すことを誓う者の名前を言います。なので禅宗さんなど戒律を重んじる宗派は、葬儀に際して、戒名をお授け頂くことが一般的です。   

しかし、浄土真宗の教えとは、とうてい戒律を守り通すことなど、出来るはずもない自分を自覚していく教えであり、戒律を守る生活を強いる宗派でもありませんので、戒名という言い方は私たちにはふさわしくありませんので使いません。

  浄土真宗は、在家の生活を続けながらも、阿弥陀如来様の救いをただただ聞かせていただく宗派ですから、仏法(仏の教え)に帰依する者の名前として、お釈迦様の「釋」の字を一字いただいき、仏法より法の1字をいただき、法名と言います。

 ご法名は亡くなる前に帰敬式(おかみそり)を受けて、ご門主様よりいただくのが本来の姿なのですが、生前にそのようなご縁のなかった方には、葬儀に際して、住職がご門主に代わって、ご法名をお付けいたしております。

 また、葬儀の時などに、「やはり法名は長い方が立派で、短いと貧弱なように思えるので長い法名をお願いできないのでしょうか。」というご質問をよく耳にします。結論から言うと、戒名や法名の字数と故人の成仏はまったく関係ありません。むしろそのような迷信に振り回されている私たちの姿勢にこそ問題があるのです。浄土真宗本願寺派の法名は「釋〇〇」の2文字が正式です。阿弥陀如来様のお救いの願いである平等施一切(すべての者に等しく功徳を与えたい)の心をいただくのが、浄土真宗のご門徒の本当の姿なのですから。私たちにとって法名をいただくということは、生前は仏教徒、浄土真宗の門徒として、阿弥陀如来様の教えを慶び、亡くなってからは、家族が故人を仏様と受け止めてゆくご縁となるのです